2006年3月11日

セルビアのミロシェビッチ元大統領が、ハーグの国際戦争犯罪人法廷の拘置施設で死んでいるのが見つかりました。ボスニアにしばしば出張する私にとっては、サラエボの破壊の様子を知っているだけに、バルカン戦争の責任者の一人である政治家が、判決を受けずに死亡したのは、いささか残念な気がします。権力の座からひきずりおろされて、独房で栄光も虚飾も失った形でこの世を去ったことで、運命の凋落を経験したことは確かですが。ただしボスニアのスルブレニッツアでイスラム教徒8000人が犠牲となった虐殺事件のような戦争犯罪については、最低限の司法的結着をつける必要があると思います。ドイツにとっても、ボスニア内戦そしてコソボ戦争は、外交政策、安全保障政策の大きな転機となる事態でした。しかも、バルカンの発火点コソボ問題は、今なお決着がついていません。セルビアからの独立以外には、おそらく解決方法はないと思いますが。